2024年5月2日 note
現代アメリカ映画界の信頼ブランドA24。だが、ここの作る映画が毎回傑作ってわけじゃないんだってことを、「パスト ライブス/再会」はばらしてしまった。
表向きは「初恋の相手と24年後に再会する」→「お互いの心はどう動くか」→「もしあの時こうしていたら…という誰にでもある経験が引き出される」→メロメロな話である。
ま、それはそれでいいんですけど。
だが少し裏読みをすると…
「韓国からトロントに移民した監督の実体験を基にして」→「彼女の一方的な思いを物語にした」ものだ。主人公の女性には自分が投影されているわけだ。それってさ…どんだけ自己愛が強いんだって。「あたしの恋バナを聞いて、ね?ね? みんなわかるでしょ??」という承認欲求みたいな。ナルシシズムをきれいごとに描いているのが、僕にはちょっと悍ましく感じさせられたんだ。しかもメディアに登場する監督本人のビジュアルが…さ。お前の脳内でこさえたおセンチな恋バナかよ、って印象だ。
さらに邪推を進めると…「パラサイト」以降のアメリカ映画市場には韓国(を含むアジア)枠があり、そこに「文芸風ロマンス」「女性需要」「アメリカ人の知らないエキゾチズム(韓国文化)」をそろえた“良質な映画”を投入すると成功するであろう、というA24の「狙い」(ラインナップ戦略)が、賞レースにハマっただけなんじゃないか、と。
とにかくキラキラしてるんだよな、この映画。前面に押し出される「自分大好き」な陶酔が強くて、僕は終始気持ち悪かった。
そう、こりゃただのメロドラマなの。
繰り返し提示されるキーワード「イニョン」(縁)だが、韓国メロドラマではむしろ「ウンミョン」(運命)だろ、とうちの奥さんも唾棄していた。ユ・テオの大ファンで公開を1年待ってただけに、奥さんの怒りが静まらないです。
いちばんおもしろかったのは、クライマックスのバーのシーン。旦那さん韓国語わかってるよね。少しだけど。わかっちゃったけど彼らを責めるわけでもない…あの表情がたまらなかった。
細やかに行き届いた演出(ロケーション)はよかった。あと、グレタ・リーは「モーニングショー」での芝居が好きなので、ちょっと贔屓しとく。
この監督が本物がどうかは次作ですね。

